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vol.02 夏至 Cinema/映画で見つけたインテリア

じめっとした夏の日常はどうも苦手ですが、この映画を観るとアジアの湿った空気がとてつもなく心地良く感じられます。ベトナム、ハノイでの夏の日。艶やかな長い黒髪が美しい三姉妹の心情を描いた『夏至』はベトナム系フランス人、トラン・アン・ユン監督の作品。
ベトナムの色彩、そして光と影。
どこを切り取っても美しいアート作品

うっとりするほど綺麗な映像とともに姉妹の美しさを際立たせているのがそれぞれの住まい。何層にも塗り重ねられたオリエンタルテイストの微妙な色彩の漆喰壁。植物を逆さにして壁のアクセントにしたり、大きな壷にたくさんの蓮のつぼみを生けたり、ベトナムの自然がインテリアにマッチしています。

鳥のさえずりが聞こえる緑豊かな屋外の台所(すごく好き!)では、ブルーや赤などプラスチック製の桶や水差しなどキッチュな小物使いも見逃せません。特にとってもおしゃれなのは現代アートを思わせる大胆な絵があちらこちらに飾られている三女のインテリア! まねしてみたいテクニックがいーっぱい!

どの家にも四方に開放感のある窓や観音開きの扉、その向こうには亜熱帯のグリーンが絵画のように美しくはえて、雨上がりのような透明感のある空気が漂ってきます。そして注目すべきはこの窓や開口部に掛かっている布の存在! この布、私はカーテンと呼びたくないのです。なぜならカーテンというほど立派なものではなく、自然にそこに存在するという感じだから…。
ベトナムらしい染めの花柄やオリエンタルカラー。だけどあくまでさらっと軽やか。
それは薄い綿素材で柔らかく光を透き通らせているから…。
はたはたと大胆に風に舞い、外の空気を心地よく室内に流してくれるから…。
眩し過ぎない光と、薄暗い室内の影をつくり、心情を風にのせる布の力が無言のシーンには欠かせない、まさに名脇役! そういえば、兄と住む三女は「理想の男性は兄さん」、と言い切る微妙な関係。二人の部屋をさえぎるのも薄く透きとおった布だけ。

湿った空気がこんなにもさりげない布使いでインテリアに透明感を与えてくれるなんて…。太陽が一番高く昇る日。さて、私もずっと仕舞ってあるあの布を引っ張り出してみようかな…?
夏至 夏至
2000年
フランス/ベトナム

監督・脚本・台詞:トラン・アン・ユン(「シクロ」「青いパパイヤの香り」)
音楽:トン・タ・ティエ(「シクロ」「青いパパイヤの香り」)
撮影:マーク・リー(「花様年華」「戯夢人生」)
美術:ブノワ・バルー(「シクロ」「ふたりのベロニカ」)
出演:トラン・ヌー・イエン・ケー
グエン・ニュー・クイン/レ・カイン
ゴーク・クアン・ハイ/アンクル・フン
DVD販売:アスミック

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