応募総数1179点の中から厳正な審査を経て選ばれた8作品及びビー・シュア編集部が選んだ1作品の合計9作品をここに発表!

今回の受賞作品は6月17日から開催される「インテリア ライフスタイル2003」の会場で、試作品となって姿をあらわすことに。また、優秀賞8点の中から来場者の投票によってユーザー大賞も決定されます。

<優秀賞>
アスタス賞 シボネ賞 ゼロファーストデザイン賞
タイム アンド スタイル賞 HUG賞 プールアニック賞
ブレッツァ賞 ラ・メゾン・デピス賞
ビー・シュア特別賞

小俣朝子
デザイナー

<作品名>  L SOFA

CONCEPT
Lは座と机の高さを基本モデュールとした2サイズの4つのLで構成する家具。Lは様々なシーンにおいて、座、机、屏風の機能を持ちながら空間を構成する。Lはイロコの無垢材を素材とし、金属のレールがLをジョントするもの。

●選考理由

審査に関しては、商品化を念頭に置き、また短期間でプロトタイプを製作するという責任を伴った条件があったため、かえって選定そのものは楽だったと思います。ただ、作品選定からサンプルアップまでの時間が短かったことで、デザイナーの方の意図(素材やパーツ、ファンクション)を充分に反映することができるかどうかが大きな課題でした。

●総評

今回の応募作品の中には現代の消費者が持つ、住空間、特にリビングスペースに対する不満を、「ソファ」というアプライアンスで解決しようとするアイデアは多くなかったと思います。その中で、小俣さんの作品には、都市に住む生活者が限られた空間を如何にシンプルで心地よく、また機能的に使うかという建築家としてのセンスとアイデアが感じられ、アクタスが提供したいと考えている「価値イメージ」と一致していました。

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Yael Mer 
学生(イスラエル在住)

<作品名> tangent

CONCEPT
”Skinnyな素材”を使って高級かつユニークなシェイプの実現を目指しました。今回使用したポリプロピレンは。カットしたり折りたたんだりすることで様々なフォルムを表現できる大変興味深い素材でした。tangent(接線)とarc(弧)は、堅固でありながら人体を優しく包み込む構造。エレガントさを表現するために。アームチェアには幾何学模様のドローイングを施したプラスチックシートを被せています。

●選考理由

この作品にたぐい稀な才能を感じました。いままでにない独創性、素材の使い方、素晴らしいと思います。ソファという概念を崩しつつ、新しい生活のあり方を提案している作品だといえます。社会に対してのメッセージ性、影響力、我々は是非、Yael Mer氏と仕事をして、クリエイターとしてのこれからの未来を見てみたいと感じました。

●総評

多くの力作のなかから1点に絞り込まなければならない現実に苦悩と困難な作業となりました。しかしこの貴重な時間を頂いたこと、応募者1人ひとりに感謝すると同時に、シボネではこれからも才能豊かな方々といろいろな企画を進めていきたいと考えています。
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Todd Bracher
インテリアデザイナー(フランス在住)

<作品名> 150W程度

CONCEPT
機能的でいて美しい、しかもスペースを有効に活用できるソファを目指しました。本を読んだりリラックスするために最も適したラウンジソファです。

●選考理由

素直に一番印象に残る作品でした。柔らかい・ウレタン素材・背と座の構成・布張り・・等々従来のソファという概念にとらわれることない発想、スマートな座面のライン、構造的観点から生まれる機能性。見た目だけの「美しさ」だけでなく、人に新たな使い方=生活を自由に発想させ、ふくらませていけるデザインだと感じました。無駄を排した新しいスタイルとして商品化していければと思っています。

●総評

このテーマ“美しいソファ”をどのような観点でとらえたデザインが集まるのか楽しみにして、結果、本当に世界中から様々なデザイン、自由な発想があることを再認識させられました。今回のテーマ及び「製品化」という条件が少し違っていたらと思わせる幾つもの魅力的なデザインがありました。なかには一発狙い的作品もありましたが笑いと驚嘆の中、とても楽しく有意義に選考させて頂きました。

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石川慎二
学生

<作品名> [Cell Sofa]

CONCEPT 
ソファに座っている間、人はどのようにして時間を過ごすのだろうか?本を読んだり、人と談話したり、コーヒーを飲んだりして過ごすのだろう。ソファはリラックスやコミュニケーションのスペースとしてとても重要な場所だ。この作品は、ソファに壁と天井を、さらに天井には照明を配している。ここに座ることによって、周囲かから分離された空間が体験できることだろう。

●選考理由

審査・選考の基準にはデザイン、素材、美しさ、商品化、またそれらの組み合わせなどさまざまな要素が含まれていると思います。特に、インテリアデザインや建築など、またそれを取り巻く環境が目まぐるしく変化するなかで、ソファとしてモノとしての在り方、存在感の新しさを感じ取れた作品を選考させていただきました。

●総評

国内外のさまざまな方のデザイン、提案、表現を拝見できると同時に、デザインへのアプローチ・考え方、モノの在り方などについてもさまざまな角度からみることができ、今後に繋がる非常に良い機会を頂くことができました。また、このような幅広いかたちでのコンペなどに今後も協力していければと考えています。

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酒井博基

<作品名> 
ME KU RE sofa

CONCEPT 
今回のテーマである「美しいソファ」の、特に「美しい」とは何であろうか?という疑問からデザインに取り組んだ。まさに美しさとは多種多様であろうが、完璧であるものが一瞬見せる「ずれ」や「すき」のなかに私はなんともいえないエロティックな美しさの魅力を感じてしまう。「ME KU RE」はそんな気持ちからデザインしました。

●選考理由

第一印象が良かった。デザインはシンプルだが良く考えてあると思う。置き方、並べ方、組み合わせのバリエーションの発展性によって個性的な作品になりそうなところが決め手となった。遊び心もあり、HUGのショップ商品とも上手く融合しそうである。

●総評

デザイン的に心惹かれるものの、生産可能な作品が少なかった。また、学校の課題的な作品も目に付いた。こういう機会を通じて日本のデザインをもっともっと面白くしましょう!参加していただいたデザイナーの方々とビー・シュア編集部の皆さんに感謝します。

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Todd Brancher
デザイナー(フランス在住)

<作品名> Red line sofa

CONCEPT
コンパクトリビングをテーマにデザイン。座るときは低めの背もたれを使い、サイドの肘掛に頭をのせれば横になってリラックスできます。ミニマルでありながらポテンシャルの高いデザインを追求しました。

●選考理由

何といってもフォルムの美しさ、直線的なラインのなかに潜む優しい曲線。椅子として、ソファとして、またデイベッドとしてもデザイナーの表現力の可能性が広がっている。ただ単純にミニマリズムの引き出しに整理できないあたたかさ、すっとした立ち姿はでしゃばらない存在感を強く感じた。彼の作品をもっと色々見てみたいという気持ちにさせられる作品だった。

●総評

1000点を越すソファのデザインを見た後に思ったことは「さて、つくれるか?」と言う疑問でした。デザイン、製作技術、材料、そしてそれらを結ぶコスト。これらの重要な要素が欠けても商品にならないことをメッセージとして残したい。

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三浦和俊
プロダクトデザイナー

<作品名> Dolce(ドルチェ) 

CONCEPT
Dolceドルチェ、イタリア語で、甘いを意味するこのローソファは、甘くセクシーな造形美を、籐というナチュラルな素材で構成しました。落ち着いた、大人な空間創りの演出装置として、このやわらかな曲線のなかにゆったりとした時間を過ごせるデザインとしています。

●選考理由

ミニマニリズムと言われて久しい。直線的インテリアの次に 50年代 60年代 70年代のスタイルが吹き荒れている。その次のアトモスフェアー(雰囲気)・フォルムを模索している時に出会ったのがこのデザイン。ブレッツァのメイン素材であるウォーターヒヤシンスで、この有機的フォルムをつくり上げる魅力を感じたからである。ソファのマルチな使い勝手と、リラックス感溢れるフォルムが選考の理由である。

●総評

世界の家具の潮流に左右されない、日本の空間にマッチしたソファをつくっていきたいという思いが強くなった。

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kong,Duck Young
インテリアデザイナー(韓国在住)

<作品名> MY ZONE

CONCEPT
ひとつのソファを共有する2人の関係の深さによって、座ったときに個々が必要とする空間は異なります。知らないもの同士であれば、座ったときにもある程度の距離が必要ですし、親密であればむしろその距離は妨げになります。関係の深さに関わらず、隣り合わせた2人がくつろげる空間としてのソファを提案しました。

●選考理由

混雑した雑踏のなかから自宅に帰った時、ほっとしたくつろぎの時を演出してくれるソファ。ある意味人間との距離感はその人との親密度に左右されるものですがある一定の距離を保てるソファというのは現在のストレスを和らげてくれるそんな気がします。それは都市に人口の一極集中を招いているすべての国の共通した感覚なのかも知れません。

●総評

まだまだ駆け出しの感がある日本のインテリアデザインが、欧米の模倣でなく独自のスタイルを見せ始めている。コンペに寄せられた作品数の膨大さにもそれが表れている気がします。そんななかで個人的な癒しの空間を求めていることを感じさせるデザインが多いのはデザイナー個人の願望か、時代を反映しているから……?

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木戸雅史 
学生

<作品名> cloud sofa

CONCEPT 
テーマが「美しいソファ」であったので、私の中の美意識であるシンプル&ミニマルという観点から,外見のいろいろな要素を排除したシンプル、しかしオリジナリティのあるデザインを目指しました。全体がクッションとなり、その中に包まれるように座る。その座り方また形からから「cloud(雲の) sofa」としました。

●選考理由

第1に夢があり、第2に独創的で、第3に面白そうな「美しいソファ」になると思ったから。本当につくれるのかどうかを試す、実験的な価値がある作品だということで編集部内の意見が一致。このデザイン画の通りに完成したらとってもユニークな一脚になること間違いなし。今から、試作が楽しみです。

●総評

まずはご応募いただいたデザイナーの皆様と、各ショップの皆様に感謝します。ご協力ありがとうございました。インテリアデザインに興味を持ち、自らをアピールしようとしている熱いエネルギーを間近で確認してスタッフ一同大興奮。実はビー・シュア賞もアクリルを使った作品と最後の最後まで悩み、迷いに迷って決めたもの。「美しいソファ」というテーマに沿った作品を選ぶのは楽しくもあり、つらくもあり、貴重な体験となりました。


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