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インテリアをつくるひと File.5 外山 翔

空間デザインとものづくりの
ハイブリットで
「いいシーン」を
生み出すアーティスト

Photo by Hisai Kobayashi

有名商業施設のウインドウディスプレイや話題のフラワーショップの内装など空間デザイナーとして活躍する外山翔さんには、アーティストとしての顔もあります。
「デザインの専門学校で家具づくりを学び、卒業後は設計事務所などで働きました。その後、空間デザイナーとして独立しましたが、これは商品を引き立てるための仕事。それとは別に純粋に自分が好きなものをつくりたいと思い、作品づくりを始めました」
外山さんが最初に制作したのが、アンティークの香水瓶やパーツをアクリルの中に閉じ込めたオブジェ。これが評判を呼びます。
「でも、『アクリルオブジェの作家』になるつもりはなかったんです。アクリルの作品を棚に並べたときに『横に何があるといいかな?』と考えて出た答えが、もともと好きだった大理石。そこで大理石を使った作品をつくりました。さらに自分で大理石の模様をつくろうと始めたのが、水溶性樹脂でマーブル模様を描いた一輪挿し『MINE ORE(マイン・オーレ)』です」
ディスプレイの仕事の影響もあり「飾ったときにどう見えるか」を重視していると言います。「たとえば誰か身近な人を思い浮かべて、その人が過ごす部屋に置いてありそうなテイストでつくるなど、飾られるシーンを意識します」。
マイン・オーレもシャネルのアクリル作品と並べられるようサイズをそろえたり、飾るときに植物が入っているといいなと思って一輪挿しにしたりと、そのデザインに至った発想がユニークです。
「素材に特別なこだわりはないんです。今はアクリルと樹脂と石だけど、来年はもしかしたらまったく別の素材を使っているかも」と外山さん。インテリアショップ以外の場所でのイベントも模索中ということで、これから「ちょっといい空間」に外山さんの作品が飾られているシーンが多く見られるかもしれません。


Photo by Hisai Kobayashi

この作品の横に何を置きたい?
空間を想像しながら次に生かす

異なる種類の作品同士や、他のインテリアとも一緒に飾ってほしいとの思いから、さまざまな作品をつくる外山さん。写真手前の穴が開いた5点と奥の背が高い円柱は大理石を模した「MINE ORE」シリーズ。色とりどりの水溶性樹脂を型に流し込んで固め、切り出して形をつくります。中央の円柱は、大理石や植物などの天然素材と樹脂を組み合わせた新作オブジェ。左奥はアンティークの熊のパーツを元につくった鋳造品と、大理石やアクリルを組み合わせたブックエンド。右奥のピンクの一輪挿しは試作品で、今冬に予定している展示会に向けて目下制作中とのこと。


Photo by Hisai Kobayashi

静と動が閉じ込められた
アクリルオブジェ

骨董市などで手に入れたという古いシャネルの香水瓶を、アクリルの中に閉じ込めたオブジェ。アクリルが固まる際の圧力で瓶が割れ、染み出した香水のアルコール成分が反応してアクリル内部に爆発したようなヒビをつくっています。「ヒビは予期していなかった偶然の産物ですが、面白い効果を生んでくれました」と外山さん。アクリルのサイズは元の香水の箱にそろえているそう。本家のパッケージと並べて飾っても素敵です。


Photo by Hisai Kobayashi

石から電球とコード!?
異素材の組み合わせの妙

オニキスの原石をそのまま用いて照明に仕立てた「Stone light」。美しい層を持つゴツゴツとした岩と、そこからニョキッと突き出た電球やコードとのコントラストが楽しい。部屋の床や棚に置いたり、外山さんの他の作品とともにコーディネートしたくなる一品です。

外山 翔 (そとやま・しょう)

2012年maticとして独立。空間デザインをベースに店舗設計や展示会などイベントの会場構成、ディスプレイデザインを手がける。また自身のアート活動をAtelier maticとし、主に大理石やアクリルを用いたオブジェや家具などの制作を精力的に行っている。
https://matic.jp.net/

La Finestra Vol.25より転載

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