

厳正な審査を経て入賞作品が選ばれ、最優秀賞及び優秀賞の作品が決定いたしましたので、ここに発表致します。応募総数158点(プロフェッショナル部門87点、学生部門71点)の中から、プロフェッショナル部門は最優秀賞1点及び優秀賞2点、学生部門では最優秀賞の該当作品がなかったものの、優秀賞3点のところ、将来の活躍を期待して最終審査に残った作品7点が優秀賞に選ばれました。
この作品は2005年11月22〜25日にビッグサイトで開催されます「JAPANTEX 2005 インテリアトレンドショー」トーソーブース内に、最優秀作品は具現化(制作)展示され、優秀賞はプレゼンボードが展示されます。
応募作品はプロ部門は全体に見ごたえあるものが多く、一方学生部門はアイディアあふれる作品が多数という審査員の評でした。




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『ART STAINED』 大瀧 隆(株式会社カヤバ・愛知県)
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ART STAINEDは、デザイン貼りした和紙を障子の様に太鼓張りで張りあわせたフラットなパネル。両面のデザインを重ねて遊ぶ事ができるだけでなく、断熱性もUPするという利点がある。光が透過すると和紙の表情や格子が浮かび上がりステンドグラスの様に、透過しないとアートの様に、窓面で様々な表情を楽しむことができる。 |
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『カスタマイズ可能なウインド・トリートメント』
阿部 仁祐/村井 康浩(養清堂アーキテクツ建築設計事務所・神奈川県)
気密・断熱性をうたう最新の住宅傾向に加え、防犯や公害への意識の強まりなど、窓が従来から持っていた外部の世界との接点という性格が抑制されつつある。そこに残された、開かれることの無いカーテンやブラインドに、文字通り風穴を開ける提案をしたい。(略)風を感知するこの機構は、「雪見障子」が持つ機能性、審美性の再考に基づくものである。 |
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『鎌倉山の隠れ家へようこそ』
木村 幸子(神奈川県)
午後10時――。深い海を漂うような夢の世界へ。カッシーナのタムベッドに合わせてマニッシュな空間を演出しました。ヒダを取らないカーテンスタイルは緩やかにカーブする海岸線のイメージ。ダイヤの織柄を生かしてバランスをデザインしました。小窓のシェードのボトムバランスのピンタックは月明かりに輝く沖のさざ波。眠りにつく前の静かな休息の時間です。 |
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※審査終了後に優秀賞の1点が応募規準を満たさない作品と判明したため、入選を無効とさせていただきました。よって、プロフェッショナル部門の優秀賞は2点となりました。

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該当作品なし |
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『Window Treatment 〜kitchenSpace』
今枝 菜穂(愛知県)
窓の大きさに合わせた枠にBoxをはめ込む。張られたメッシュには自分のお気に入りの写真や、思い出の写真がプリントされている。また組み合わせも自由で、Boxがはめ込まれない部分は屋外の一風景を切り取り、風景を一つの絵として捉えることができ、楽しく、快適な空間がつくられる。(略) |
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『エアクロス』
内田 正徳(北海道)
窓辺は外部の環境を取り込む事ができるが、ときにそれらを拒否する必要もある。つまり窓辺は、光や熱、風などを調節できる機能が求められ、同時に美しさを兼ね備えた空間であることが理想である。今回の提案では、梱包材に使われるエアーパッキンの機能性と連続した形態の美しさに着目し、ヒントを得ている。 |
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『ブラインドと空気層の和』
神田 康太(北海道)
春から夏にかけては、硬化性のあるレースやシアーカーテンのような素材をブラインドに使うことで、激しい太陽光を和らげ、魅力的な光のシルエットをつくってくれるでしょう。秋や冬などの寒い季節は、厚手のドレープでブラインドをつくれば、ハニカムスクリーンのような空気層をつくるため、断熱効果が期待できます。(略) |
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『部屋の中で感じる色んな表情のeco』
金 慶娟(大阪府)
外の環境から家の中を守る機能性を求めてきた窓の一部に、森の形を入れ、その形を切り抜いて、光が通れるようにした。そこから入ってくる光は部屋全体に美しい影を作り、一瞬部屋は憧れの事前に変化する。いつでも自分の部屋でエコを感じるように工夫した。(略) |
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『Shadow Picture』
中谷 香織(大阪府)
Shadow Pictureはロールスクリーンを2個使い、外側にはレースのスクリーン、内側には社交性のあるスクリーンを利用する。内側のスクリーンには模様を切り抜いてつくることで、二つのスクリーンの奥行き感を楽しむことができる。また外からは切り抜いた模様から光がこぼれ、外からも美しく遊び心のある窓を提案する。 |
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『sorae』
本間 永一(神奈川県)
「sorae」の構造は正方形のパネルユニットから構成されます。パネルユニットには数種類あり、それぞれ素材が異なります。そのパネルを窓の外の環境や気分により、扱う人が組み合わせ「sorae」は完成します。「sorae」が自宅の窓にかけられた時、外の景色はあなたが描いた画のように見えるかもしれません。(略) |
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『fluidity』
三宅 伸幸(東京都)
空間の状況を光と影による不規則な円のグラデーションで、変化させることにより自然からの流動的状況を時間ととともに内部に取り込みました。円の中には、外部の景色がより強調され写しだされた式を楽しむ事が出来る。外ブラインドにすることにより断熱性が保たれ、不規則な円により、プライバシーも保たれる。外部に開きたい時は、上にスライドして庇となり内部に光を取り込むことができる。 |
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審査委員長 木村 戦太郎
(文化女子大学 教授/社団法人日本インテリアデザイナー協会 選考委員会委員長)
今回の応募作品の傾向は、特に上位15位くらいまでの作品に、伝統素材や技術に新解釈を加えたもの、素材転用による新機能など、堅実な取組の優れた提案が多かった。又、前回同様に日本の風土を意識した提案が多く見られたが、これは本コンペの主旨に添うものでもあり、企画者の一人として喜ばしい傾向である。
プロフェッショナル部門・最優秀賞の「ART STAINED」は格子に和紙を太鼓張りしたもので、格子と両面の色柄の組合せや光との関係で様々な表情が楽しめる。和にも洋にもアレンジ出来て内外二面性も備えており、障子を新解釈した着眼点が秀逸だ。優秀賞の「鎌倉山の隠れ家へようこそ」は、プロの技と行き届いたセンスが感じられる作品で、インテリアエレメントとして高い完成度を見せている。「カスタマイズ可能なウインド・トリートメント」は、既存のワイヤーシステムを利用した開閉・ディスプレイ機能を提案しており、プレゼンボードは迫力があったが、本体および既存開口部の操作性に問題が感じられた。
学生部門では上位に図抜けた作品が見られなかったため、上位7作品を優秀賞とした。「fluidity」は外付けの庇兼ブラインドで、ディテールが未解決とは言え、その表情と光の効果に今後の可能性が楽しみな作品である。「エアクロス」は梱包材エアーパッキンの機能を活かし、断熱性と通風性・視線コントロール性も備えており、「ブラインドと空気層の和」は中空の和紙のフォルムと機能が新鮮だ。何れもディテールは未消化だが、今後の展開に可能性が感じられる。「Window Treatment」「sorae」は窓辺に新しい表情と機能を提案しているが、開閉機能が未解決だ。窓サッシと提案するプロダクツが一体となって機能する様に考えて欲しい。「Shadow Picture」「eco」は切り抜きによるスクリーンだが、夫々のヴィジュアルデザインと機能に若者らしい独創性が感じられた。 |
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審査委員 佐戸川 清
(株式会社ゼロファーストデザイン代表/社団法人国際家具産業振興会理事)
今日の生活者にとってウィンドウファッションは日常生活に重要なインテリアエレメントであると同時に関心の深いものであると感じます。
出題が日常的内容であるところから、学生部門、プロフェッショナル部門相方の応募者の生活感や仕事の実体験から発想されたものが大半であろうと感じました。
それだけに学生の作品には、全体として新鮮さ、斬新性、先進性を感じるものが少なく、生活体験不在を思わせます。その分、教育分野での新たなカリキュラムの必要性を感じさせます。ただ、中には若さに満ちたエネルギッシュな作品もあり、今後が楽しみなものもありました。
プロフェッショナル作品には、さすがに経験豊かな実務者と思われる応募があり、美しく、実用的なものも多く、また生産者的な発想でアイデア豊かな次世代的機能を加えた作品もあり、伝統的手法をベースにファッショナブルにアランジしたものから飛んだとてつもなく面白い作品までバラエティ豊かな応募があり、楽しく審査させていただきました。
今後は応募の事前PRを促進してもっと多くの応募を期待したいと感じました。 |
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審査委員 塩谷 博子
(ファブリックスワークス代表)
プロの作品に窓装飾でインテリアスタイルを完成させるという視点での優れた仕事がみられたのは心強い。総合評価に『日本の風土になじむ窓装飾』という基準があったため入賞は逃したが、デザイン的、テクニック的にも欧米の水準を超えたといえるものが数点あった。欧米スタイルを望む顧客が増えている現状をみれば、このような作品も評価したいところである。最優秀作品『アートステンド』は和紙の特性を最大限に活かし和にも洋にもなじむ窓装飾にしたもので見事である。特に窓枠の奥行きを活かし、デザインの異なるものを太鼓張りにするアイディアは、濾過する光による複雑な表情を感じさせて秀逸。
『鎌倉山の隠れ家』は、男性的なイメージをあえて無機質にまとめず、布の選択とあしらいで狙い通りマニッシュかつエレガントに仕上げ、さすがプロであると感じさせる作品。
『カスタマイズ可能なウインド・トリートメント』は、一般住宅の窓用としては、メンテナンス上提案しにくいが、フィックスの窓のトリートメントや商業空間のウインドウディスプレイには多様なあしらいが出来て面白い。
学生の応募作品は、エレメントの知識がないためか、説明が舌足らずの作品が多かった。 また、既に商品化されたものや、手法が発表済みのものの応募が見られたのも残念。教える側に窓周りのスペシャリストが少ないのかもしれない。 優秀作品は発想が面白く実現可能と思われるものを選んだ。 特に 『fluidity』はエクステリアの窓装飾という斬新さと、くり貫いた円から落ちる光の美しさをアピールする表現力は抜群である。 『エアクロス』『Sorae』『キッチンスペース』の3点はアイディアが斬新。 その分機能性や美しさに問題があるが、ウィンドウファッションの必須条件であるこれらの要素をどう取り入れるかが今後の彼らへの宿題である。 『部屋の中に広がるエコ』『Shadow Picture』『空気層の和』は素材のあしらいの気持ちのよさと美しさを評価した。 |
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